設計図が必要ない匠の技
企業名: 三浦鉄工所

■ 得意技は職人の勘と経験

「誰も直せなくなった器具でも、うちに飛び込んでくれば新しい形で生まれ変わらせます」と三浦鉄工所の三浦智数さんは語る。
三浦さんはモノ作り歴45年の大ベテラン。中学校を卒業して6年間、金属を打って鍛えて製品を作る鍛冶の修行を行い、21歳の時に現在の場所で事業を開始した。事業開始当初は、鍛冶の仕事のみを行っていたが、機械化の進展に伴い鍛冶に対する需要が低下、三浦さんは溶接機などを導入し鉄工を行うことを決意する。現在では、鍛冶と鉄工の両方ができる鉄工所として活躍する。
三浦さんの強みは、45年の経験から培われた職人の勘と経験である。お客さんのニーズを聞き取ると、たとえ製造中止となった農機具の部品であろうとも、勘と経験で製作に取りかかる。三浦さんが手がける器具は、農機具や工具、産業機械、歯車、だんじり・太鼓台の台車まで幅広いが、設計図を一切必要としないところは、まさに「匠」である。
三浦鉄工所は困ったときの駆け込み寺として、農機具メーカーや農協など、多くのお客さんから信頼されている。

■ 伝統技術の継承が課題

高度な技術を有する鍛冶屋や鉄工所が少なくなってきている中、お客さんからのニーズに応えるため、三浦さんは今も元気に活躍している。機器を製造したメーカーでさえ自社製品の修理の技術が無くなりつつある今日、三浦さんの仕事は、修理して使うという循環型社会の形成を支える重要な役割を持っている。
今後の課題は、三浦さんの匠としての技術をどう受け継いでいくかということ。伝統的な日本の、西条のモノ作り技術を受け継いでいくことが、我々次の世代に求められている。
三浦鉄工所からは、今日もトンカントンカンと鉄を打つ懐かしい音が聞こえてくる。

(レポーター‥技術相談室チーフアドバイザー 林)