ヒートアイランド現象に立ち向かう特殊素材
企業名: 環境資材株式会社

 40.9℃。
 平成19年8月、埼玉県熊谷市および岐阜県多治見市で記録された、日本における気象観測史上最高気温である。
 近年、大都市を中心に社会問題となっているのがヒートアイランド現象。都心部の気温が郊外に比べて高くなる現象のことである。その原因の一つに、林立するコンクリート造りの高層ビルや、アスファルト舗装された路面などが熱を帯びることが挙げられている。
 こうした中、環境資材鰍フ高橋章社長は、ヒートアイランド現象の緩和に向け、コンクリート構造物や舗装材の温度上昇を抑制する新たな素材の開発に成功した。

■コンクリートから環境改善
 高橋社長が同社を設立したのは平成18年7月のこと。
 大手企業を定年退職後、サラリーマン時代に培った知識や開発経験を基に、コンクリートの製造時に材料と一緒に混合して、その温度上昇を抑制する、無公害の特殊添加材を開発した。この特殊添加材は他社の従来品とは異なる性能を有しており、昨年6月にチェコ共和国で開催された国際学会でもその性能について発表し注目を集めた。

■自社開発添加材の特性
 同社が開発した特殊添加材は、温度上昇を抑制する三つの性能を有している。
 まず一つ目は、熱を帯びる原因である赤外線を高効率で反射する性能。二つ目は、熱伝導率が低く熱を帯びにくいという性能。そして、他社の従来品と最も異なるのが、三つ目の調湿性能である。
 従来の添加材では、雨や散水などにより水分が液体として内部に取り込まれ気化に利用されていた。しかし同社が開発した特殊添加材は、水分を気体として取り込む点に最大の特徴があり、雨が降らず晴天が続く真夏には、日中に蒸発し気体となった水分を夜間に再吸湿し、その水分を再度日中に放出するというもので、すなわち吸湿と放湿を自動的に繰り返すことで気化熱による温度上昇の抑制効果が持続するものである。

■事業化支援
機能性に優れた特殊添加材の開発に成功した同社であるが、企業規模が小さく、開発した特殊添加材を混合したコンクリートの最終製品の、自社での製造・販売が困難な状況となっていた。
 サイクスでは、西条市や四国経済産業局と連携して、同社のように競争力がある製品や技術などを有しながらも、事業化に至っていない企業に対する支援事業を実施している。
 同社には、開発した特殊添加材のさらなる競争力強化と、その保護を目的とした知的財産権の取得支援、そして添加材の販売ルートの確立などについて、サイクス支援員や専門家による支援が現在行われている。


写真1:高橋章社長
写真2:特殊添加剤を混合した試験品
写真3:夏季の試験データでは、屋根部分において従来品に比べ10℃以上の遮熱効果を記録した性能検証施設