顧客目線でこだわりの菓子づくり
企業名: 東陽製菓株式会社

 『バター』・『パール』・『奴あられ』。これらは、東陽製菓株式会社が米菓を扱い始めた頃から販売し、今なお根強い支持を得ている同社の代表的なあられの商品名である。
 同社は、周桑菓子組合の名称で昭和28年に生菓子の製造販売を開始した。創業時には、アメやまんじゅうなどを作っていたが、創業者の故野島史夫会長がもともと米を扱っていたこともあり、昭和38年に米菓の製造を始め、その3年後に現在の会社名に社名変更を行った。
 昔から自社の商品を大切にしつつ、新商品の開発にも積極的に取り組んでいる同社。大手企業のように開発部門などはないが、消費者の声をくみ上げ、それに応えられるように柔軟な商品開発を行っている。必ずしも効率的ではないこともあるが、消費者の要望にきめ細かく応えるべく努力を続けている。これは、大手にはできない強みである。

■熟練の技
 長い年月をかけて築き上げた技術もある。一つの商品の製造においても、その日の天候や温度・湿度により微妙な調整が必要となる。まさに食品は生き物である。その微妙な違いを調整するのは、職人の勘と繊細な感覚であり、いくら温度設定や時間管理をマニュアル化しても、機械任せでは決して同じ商品にはならない。平成16年に現工場を増築した際には、環境の変化により製造された商品は売り物にならないものばかりであった。その際に、社員が一丸となり試行錯誤を繰り返し乗り切ってきた経験が、今日の自信にもつながっている。
 また同社では、全国で数社しか扱っていない「浮物」と呼ばれる製法による菓子づくりも行っている。この製法は、人の手で生地を練り、型に置いていかなければならないため、確かな技術と大変な手間が必要となる。
 さらに、食の安全・安心にも積極的に取り組んでおり、産地偽装問題などで食品に対する不安が広がる中、消費者にとって本当に大切で必要な、原材料やアレルギーなどに関する情報を分かりやすく表示するように努めている。それが、化学調味料を一切使用せず、国産米百パーセントにこだわった『せとみ庵』ブランドの立ち上げに至った。

■新たな事業展開 
 大手のスーパーマーケットやドラッグストアが全国津々浦々に立地し、多くの加工食品が低廉な値段で販売されている今日、同社も低価格競争の影響を受けているのは例外でない。地方の中小企業にとって非常に厳しい状況の中ではあるが、従来の流通業や小売業のルートに加え、新たな販売経路の開拓に向けても動き出している。
 昨年にオープンした直営店「喜左衛門本舗」や道の駅などでの、土産物としての商品販売の展開がそれである。既存の販売ルートと新しい販売ルートを組み合わせた営業戦略により利益改善を図り、そしてこれからも消費者とともに成長し続ける企業となることを同社はめざしている。

写真1:東陽製菓
写真2:循環乾燥機で商品を乾燥
写真3:喜左衛門本舗の店内