苦難の末に開発した独自技術が生んだ自信の逸品
企業名: 潟^ツノコ

 「黒ばらのりは、海の高級野菜です」
 潟^ツノコの梅本文雄会長と内海伸彦社長はそう語る。
平成元年に現会長の梅本氏が設立した同社は、海苔の卸・加工販売会社である。
 「黒ばらのり」とは、収穫した海苔をミンチにして板状に加工する板海苔とは異なり、摘みたての黒海苔をそのままの形状で加工したものである。同社ではこの「黒ばらのり」を商標登録し全国各地で販売を行っているが、今日の状況に至るまでには大変な苦労を重ねた歴史があった。
 「黒ばらのり」の取り扱いを始めたころには、どこに行っても同社が相手にされることはなかった。板海苔しか見たことがなく、どのようにして食べるのか分からない消費者はもとより、19p×21pという海苔の規格ではないため業界からも海苔として認められず、思うように販売につながらない時期が長く続いた。

■転機となった特殊焼加工機の開発
 そうした状況の中、同社に転機が訪れる。
 数年間にも及ぶ試行錯誤の末、ばらのり特有の海苔の固まりを芯まで焼くことができる、遠赤外線特殊焼加工機の開発に成功したのである。
 ばらのりは、ある程度の固まりがなければパリッとした食感が出ないため商品価値が下がってしまう。しかし、従来の機械を固まりのあるばらのりの加工に用いると、海苔の重なっている部分が焼け過ぎて苦くなり、芯までおいしい商品とはならなかった。独自開発した加工機はこうした課題を一気に解決したが、それだけではなく思いもよらない効果も生んだのだった。
 通常、海苔に熱を加えると栄養成分が破壊され、風味は落ちることになる。しかし、同社が開発した遠赤外線特殊焼加工機では、海苔本来の風味が損なわれることなく、非常に高い栄養成分が保たれたのである。事業化に向けた確かな道筋が開かれたのだ。
 今日、「焼きばら」や「味ばら」など、多くの商品を取りそろえて全国展開をするまでに同社は至っている。

■生産者育成の取り組みにも挑戦
 現在、同社では、県外の若手海苔生産者を受け入れるなど、次世代の担い手確保の取り組みにも挑戦している。
 国内の海苔生産業は、韓国産や中国産といった安価な海苔が大量に輸入されるなどの厳しい状況の中で、生産者数を減らしている。海苔は水質や干満差により品質が大きく変わるため、遠浅海岸が続く西条の漁場で採れた海苔の風味は、他の追随を許さないアドバンテージを誇っている。
 『西条の海を守る』との強い思いを抱く梅本会長と内海社長は、口をそろえて言う。
 「西条の良好な干潟漁場で採れる黒ばらと青海苔は残さなければならない」と。

写真1:全国で西条産品を販売する潟^ツノコ
写真2:西条で採れた自慢の海苔を使った商品
写真3:新たな取り組みに挑戦している内海社長