宇宙に羽ばたく高度な技術と可能性への挑戦
企業名: 株式会社コスにじゅういち

2010年6月、7年間にも及ぶ宇宙飛行を終え地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。そのサンプル採取機構の主要部品を、住友重機械工業鰍フ依頼で製作したのが潟Rスにじゅういちである。
 昭和23年に機械設備関係企業として新居浜市で創業した同社。その後、平成5年に西条事業所を開設し、翌年には現在の名に社名変更した。
 昭和40年ころには、アルミ二ウム精錬工場でのアルミニウム切断・メンテナンス関係を主業としており、それが事業の約8割をも占めていた。
 しかし、やがて同社は大きな岐路に立たされる。アルミニウム精錬工場の海外移転により、仕事の大半が霧散してしまったのだ。
 当然、そのままでは経営が成り立たなくなってしまう。絶体絶命の危機に立たされた。しかし、それまでも常に現状に甘心せず、新たな可能性を探求してきた同社の姿勢がそのピンチを救った。
 当時、取り組みを始めていたアルミニウムの精密加工や半導体関連の部品加工が、活路を拓いたのだった。当初は充分な機械設備がないために外注しながらのものであったが、徐々に新たな設備を導入して順調に事業を進め、ついには困難な局面を乗り越えることに成功したのである。

■ 高度な技術の応用による事業強化
 現在では、アルミニウムやマグネシウム合金の精密加工のほか、異種金属の接合など多様な技術を有する同社であるが、中でも最も得意とするのがICチップや液晶テレビの配線材料として使用される「アルミニウム・スパッタリングターゲット」の製造である。住友化学鰍謔閧フ製造委託を受け、今や国内トップシェアを誇っている。
 今後はこの委託事業と併せて、同社独自でアルミニウム以外の金属を利用したスパッ
タリングターゲットの製造にも取り組み、事業の強化を図りたいと考えている。

■独自の技術を新たな事業へ展開
 また同社には、精密加工技術を活かして動き出した事業もある。それが「はやぶさ」の部品製作をはじめとする宇宙関連産業への参入である。宇宙関連部品の大きな特徴は、軽量化のための薄肉・削り出し加工とその精度である。軽量化には、質量の軽いマグネシウム合金を使った部品が必要となるが、その加工には高度な技術が求められる。難削材と呼ばれるマグネシウム合金を、わずか数ミリほどの厚さまで削り出すのは容易なことではない。しかし、アルミニウム加工で培った同社のノウハウは、複雑な形状の製品加工を可能にしている。
 さらに、電気と機械の技術や知識を融合させた自社製品の研究開発も進めている。
 新規事業は、結果が出るまでに相当な時間を要することが多い。しかも結果が出ないことさえある。しかし、近藤社長は「チャレンジしていかなければ何も生まれない」と前を向く。
 「和の精神をもって企業の一流化をめざす」をテーマとして、課題や問題点を一つずつ丁寧に解決し、新たな事業展開を図る同社の挑戦は、社員一丸となった取り組みによって成し遂げられているのだ。


写真1:近藤社長(左)と篠原西条事業所長(
右)
写真2:液晶用スパッタリングターゲット
写真3:アルミニウム合金製薄肉削り出し品