新たな事業の展開と地域産木材の利用拡大
企業名: 河野興産株式会社丹原工場

 林野庁が国産木材の利用拡大のために推進している「木づかい運動」顕彰事業において、去る10月1日、河野興産鰍ノ農林水産大臣から感謝状が贈られた。これは、同社のこれまでの国産木材の使用実績や、利用促進を目的としたP R 活動などの取り組みが、公に認められたものである。
 昭和29年、松山市三津浜に誕生した河野興産梶B会社設立当初は、主に外材と呼ばれる輸入木材を扱う製材業を営んでいた。昭和52年に現本社のある松山市西垣生町へ工場を移転するなど順調に事業を伸展させてきたが、大手住宅メーカーからの依頼を契機に、集成材の製造にも取り組みを拡大した。平成7年に新設した丹原工場は、今では同社の集成材事業部の主力拠点に成長している。そしてついに8年前の平成16年には、それまでの製材業からは完全に手を引き、集成材専門企業として新たな舵をきることとなった。

■社員一丸となり磨いた技術
 製材が大きな丸太から板や柱を作るのに対し、集成材は小さな木材を組み合わせて新たに板や柱を作り出すという、まったく逆のプロセスである。長年木材に携わってきた同社ではあったが、集成材の製造に取り組み始めた当初には、工場に泊まり込んでの作業を強いられることもあった。
 集成材は日本農林規格(JAS)への適合が求められ、特に構造用集成材は高い強度が必要なため、使用する接着剤は非常に強力なものとなる。
しかし、いくら強力な接着剤を使っても、毎日の気温や木材の含水率などのわずかな違いに対応できなければ、強度不足や剥離につながり製品としては認められない。納入先の住宅メーカーが求めるのはJAS規格以上の品質であり、ほんのわずかな誤差さえ許されず、その高いハードルを越えるために従業員は一丸となって試行錯誤を繰り返した。
そうした努力の結果、日々の気象条件の変化に適切に対応できる経験と技術力を獲得した同社は、今や大手住宅メーカーの構造用ヒノキ集成材供給の主力企業となっている。
 河野隆幸社長は語る「当時の貴重な経験が、今の技術的な土台となっている」と。

■国産木材の利用を促進 
 集成材への取り組みを開始したころ、同社では輸入材を主に使用していた。しかし今では、国産のヒノキやスギが8割強を占めている。
 現在、西条市の人工林は、木材として利用するのに最適な時期にまで生育しており、健全な森林経営を維持するためには、地域産木材の積極的な使用が必要不可欠である。そうしたなか、国産木材、特に地域産木材の利用にこだわった生産体制を構築している
同社は、当市の林業振興にとって大きな存在となっている。
 構造用集成材だけではなく、見た目にも美しい内装用集成材の製造・開発の取り組みも開始した河野興産梶B大企業には決して真似のできない、小回りを利かせた事業展開を進めている。

写真1:感謝状を手にする河野社長
写真2:経験と技術が作りだした集成材
写真3:集成材を使用したテーブルセット